1.非受精卵の解析
顕微授精の場合、卵子内に確実に精子が1個注入されますが、それでも受精が起こらないことがあります。その原因は卵子側、精子側の両要因が考えられ、非常に複雑であることから、原因解明は困難です。しかしながらLABOXでは、その一端を垣間みることが可能です。正常に受精のプロセスが進む場合、卵子内に精子が注入されると、卵子は活性化され、第二減数分裂を再開して第二極体を放出し、雌性前核の形成を開始します。一方、精子の核は膨化し雄性前核を形成します。それと同時に精子頚部に存在している中心小体から、雌性前核に向かって微小管が伸び、精子星状体が形成されます。顕微授精を実施したにも関わらず、受精に至らなかった卵子を解析すると、この一連のプロセスのどこで発生が停止してしまったのかを窺い知ることが出来ます。お示ししている図は、顕微授精後に非受精と判断した卵について、微小管(緑)と中心小体(赤)の免疫蛍光染色を実施した例です。Aは第二減数分裂紡錘体であると考えられ、この卵子では第二極体の放出が不完全であったことが分かります。また、Bは膨化途中の精子頭部であると考えられ、頚部に存在する中心小体(赤)から微小管(緑)が伸びて精子星状体を形成しようとしている様子が確認できます。